【2025年行政書士法改正】2026年施行で何が変わる?罰則強化の影響と重要ポイントを解説

行政書士法改正のアイキャッチ

2025年(令和7年)6月、「行政書士法の一部を改正する法律」が公布されました。

この改正は、私たち行政書士の「使命」が明記されるといった内容だけでなく、事業者の皆様の「コンプライアンス」にも直結する、非常に重要な変更を含んでいます。

特に、行政書士でない方が「報酬を得て」申請書類を作成する行為への規制が、より厳格に、かつ明確にされました。

「うちはコンサル料として貰っているから大丈夫」
「サービスの一環だ」

といった認識のままでは、2026年の施行後、「知らずに法律違反をしていた」では済まされない事態になるかもしれません。

この記事では、特に自動車ディーラー様や中古車販売店様の皆様など、許認可申請に関わる事業者の皆様に知っていただきたい行政書士法改正のポイントと、その影響を分かりやすく解説します。

行政書士法改正の重要ポイント:結局、何が変わる?

行政書士法改正で変わること

今回の改正で、事業者の皆様に特に知っておいていただきたい重要ポイントは、「業務制限の明確化」と「罰則の強化」です。

もちろん、国民の利便性が向上する改正も含まれています。

ポイント1.【最重要】無資格者による業務制限の「趣旨明確化」

今回の改正で、事業者の皆様の業務に最も大きな影響を与える可能性がある変更点です。

改正法第19条第1項では、行政書士でない者が行政書士の業務(官公署に提出する書類作成など)を行うことを禁止する規定に、「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が追加されました。

これは、「コンサル料」「サポート料」「手続手数料」など、どのような名目であっても、実質的に「官公署に提出する書類作成(例:車庫証明、自動車登録、建設業許可申請など)の対価」として報酬を受け取ることが、明確に違法であると法律に明記されたことを意味します。

これまでは「これは書類作成代ではなく、コンサルティングの費用だ」といった説明がなされるケースもありましたが、今後はそのような言い分が通用しにくくなります。

ポイント2.【警告】罰則の強化と「両罰規定」

ポイント1の違反(無資格業務)に対する罰則は、行政書士法第21条により「一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金」と定められています。

さらに今回の改正では、罰則に「両罰規定」(改正法第23条)が整備・強化されました。

万が一、会社の従業員が違反行為(ポイント1のような無資格での書類作成・申請代行)を行った場合、その違反行為を行った従業員個人だけでなく、会社(法人)に対しても「百万円以下の罰金」が科される可能性がある、ということです。

「従業員が勝手にやったこと」では済まされず、会社の管理体制やコンプライアンス意識が厳しく問われることになります。

ポイント3. 特定行政書士の業務範囲が拡大(国民の利便性向上)

もちろん、規制強化だけでなく、国民の皆様の利便性を高める改正も行われました。

これまでは、行政書士が「作成した」書類に関する不服申立て(審査請求など)しか、特定行政書士は代理できませんでした。

今回の改正で、行政書士が「作成することができる」書類へと範囲が拡大されます。

例えば、お客様ご自身で申請して不許可になってしまった案件についても、行政書士が不服申立ての段階からサポート(代理)できるようになります。

国民の皆様の権利を守る選択肢が広がりました。

ポイント4. 行政書士の「使命」「職責」の新設

私たち行政書士の役割についても、法律上の位置づけが明確になりました。

  • 使命(第1条):行政書士が「国民の権利利益の実現に資する」存在であることが明記されました。
  • 職責(第1条の2):法令・実務に精通し公正誠実であること、また、デジタル社会に対応する努力義務が定められました。

私たち行政書士は、より一層の責任感と専門性をもって、皆様のサポートにあたってまいります。

【影響予測】今回の法改正がもたらす具体的な影響

行政書士法改正の影響

行政書士法改正の影響は、皆様のビジネスに直結します。

自動車ディーラー・中古車販売店・建設業の皆様への影響

これまで、お客様への「サービスの一環」や「手数料」といった名目で、お客様名義の車庫証明、自動車登録、あるいは建設業の変更届などを、自社の従業員が代行していませんでしたか?

今回の法改正(特にポイント1, 2)により、これらの行為が「報酬を得た無資格業務」とみなされ、行政書士法違反として摘発されるリスクが、従来に比べて格段に高まりました。

万が一違反となれば、行為者である従業員が「一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金」の対象となるだけでなく、会社(法人)も「百万円以下の罰金」を科される可能性があります。コンプライアンス違反が発覚すれば、罰金だけでなく、会社の社会的信用にも甚大な傷がつく恐れがあります。

依頼者(国民・企業)への影響

一方で、皆様(依頼者)にとってはメリットもあります。

  1. 救済手段の拡大:万が一、申請が不許可になった場合でも、特定行政書士による不服申立てという救済の道が使いやすくなります。
  2. 適正な手続きの担保:無資格業者が排除されることで、国家資格者である行政書士による適法かつ専門的な手続きが担保され、より安心して手続きを依頼できる環境が整います。

改正法はいつから?施行日は2026年?

行政書士法改正は2026年に施行されますか?という疑問についてですが、その通りです。

この改正法は、令和8年(2026年)1月1日 から施行(スタート)されます。

施行日はもう目前に迫っています。「知らなかった」では済まされません。今すぐの対応準備が必要です。

まとめ:コンプライアンス遵守と業務効率化のために

2026年1月から施行される行政書士法改正は、無資格者による申請代行業務を厳しく制限し、違反した場合の法人責任(両罰規定)を明確にします。

自動車ディーラー様や関連事業者の皆様が、意図せず法律違反を犯してしまうコンプライアンスリスクを回避するために、申請業務のあり方を今一度見直す絶好の機会です。

車庫証明、自動車登録、各種許認可申請(建設業、運送業、古物商など)の手続きは、コンプライアンス遵守と業務効率化の観点から、法律と実務の専門家である「なないろ行政書士法人」にぜひお任せください。

私たちが適法かつ迅速・丁寧に手続きを代行することで、皆様は罰則のリスクから解放され、営業活動や顧客対応といった本来のコア業務に安心して集中していただけます。

法改正に関するご相談や、現在の手続き方法の見直しについても、お気軽に当法人までお問い合わせください。